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米国の景気後退にもかかわらず東アジア経済はなおも好調

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米国サブプライム問題が東アジア経済に与える影響は限定的
-世界銀行の東アジア大洋州地域半期経済報告書-

ワシントンDC、2007年11月14日 – 米国のサブプライム問題と原油価格の世界的な高騰に対する不安が高まっているが、東アジアの経済は2008年も好調に推移する可能性が高い-このほど発表された世界銀行の「東アジア大洋州地域報告書-回復力はリスクを克服するか」はこう分析している。 その中で同報告書は、1日2ドル未満で生活する域内の貧困者数が、1990年の10億人から初めて5億人を切ったと指摘している。

表1:東アジアの経済成長

 2005200620072008
東アジアの新興経済国7.78.38.48.2
  東アジアの途上国9.29.810.19.7
     東南アジア5.15.45.75.8
       インドネシア5.75.56.36.4
       マレーシア5.05.95.75.9
       フィリピン4.95.46.76.2
       タイ4.55.04.34.6
     移行経済国    
       中国10.411.111.310.8
       ベトナム8.48.28.38.2
     小規模経済国7.87.26.46.2
  新興工業国(NIE)4.95.55.15.1
       韓国4.25.04.85.1
       他のNIE 3カ国5.55.95.45.1
日本1.92.22.01.8
世界銀行東アジア地域; 2007年10月。NIEに関するコンセンサス予想。

同報告書は、域内の経済・社会面の健全性について論じる報告書として半期に1度発表されるもので、東アジアの新興経済国1東アジア新興経済国とは、東アジアの途上国(中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムおよびその他の小規模経済国)、ならびに4つの新興工業国(香港、韓国、シンガポール、台湾)を指す。

の成長率が前年に続き2007年も8%を超え、2008年はわずかに減速すると予測している。東アジアからの米国向け輸出はすでに鈍化したものの、中国をはじめとする国々で投資活動と消費が活発化したため、今年の成長はなおも好調に推移し、加速さえ認められた。

中国の2007年の成長率は11.3%に達すると見られ、2008年もわずかに減速し10.8%になると予想される。こうした力強い成長ぶりは東南アジアの中所得国に及んでおり、さらにカンボジア、ラオス人民民主共和国、モンゴル、ベトナムといった域内の低所得国でも7~10%という着実な成長が続いている。太平洋の小島嶼国では、社会的緊張と政治不安により経済が打撃を受けている国があるものの、商品相場の上昇に支えられてこれまでを上回るペースで成長を遂げている国もある。

一方、石油価格のさらなる高騰により、2008年は、東アジアだけでなく世界の経済成長の堅実さが試されることになるだろう、と同報告書は警告する。原油価格は、需給要因にあおられて11月には90ドルを大幅に上回った。こうした価格上昇で、先進国の需要は鈍化しているが、途上国の需要はなおも年間3~4%のペースで拡大を続けている。同報告書は、2008年の平均石油価格を90ドルとして算定すると、東アジアの国内総生産(GDP)の1%強に相当する所得が失われることになるだろうと指摘する一方、この数値は、同地域で過去3、4年に発生した、石油価格上昇に伴う年間追加コストと同程度であろうともしている。

「米国のサブプライム問題と石油価格の高騰再燃で、下振れリスクが高まったのは明らかです」と、同報告書の主任執筆者ミラン・ブランバットは言う。「それでも、域内の力強い成長の勢いは2008年も続くでしょう」
同報告書によると、中国は域内のほかの国々からの重要な輸出先となったが、こうした国々には、めまぐるしく変化し競争の激しい中国市場に対応するための方法を常に模索する努力が求められると警告する。「中国の隣国である東アジア諸国にとっては、中国の輸出産品に原材料を供給してきた従来の形から、今後は中国の国内市場への供給に移行することが新たな課題となるでしょう。そのためには、リサーチ、生産、ブランド化、販売などの手法と経路を大幅に変えていく必要に迫られるかもしれません」とブランバット は言う。

さらに、東アジアの新興経済国は2007年にかつてない多額の外貨準備高を確保したと、同報告書は指摘する。域内の9大国の外貨準備高は、2007年9月までの9カ月間に4510億ドル増えて2.5兆ドルに達した。域内全体の外貨準備増大分のおよそ5分の4は中国によるものである。

「世界規模で短期的変動が起きても、東アジア諸国にはそれを乗り切るだけの能力があり、これからも長期的な開発目標の達成に向けて歩むができるはずです」、と世界銀行東アジア・大洋州地域担当チーフ・エコノミスト、ビクラム・ネールは言う。「東アジアがめざましい貧困削減に成功したのは、主に域内の急成長によるところが大きいといえます。この成長を今後も維持することが重要であり、そのためには、投資環境、金融制度、公共サービスの提供、創造性を伸ばす制度・教育制度といったものを引き続き改善していくことが、大半の域内諸国において引き続き優先課題となります」

1日2ドル未満で暮らす貧困層の割合は、1990年の69%、そして2006年の29.5%から、今年は約27%に減るものと予想される。しかし、同報告書の特集「東アジアにおける開発のための農業」では、貧困がいまや農村地域に集中していると説明する。農村部と都市部の格差が多くの国で広がっており、それが国レベルでの不均衡を助長する大きな原因の一つとなっている。したがって域内各国の政府は、農村と農業の開発政策を再重視する一方で人的資本の育成促進に向けた方策を模索することにより、都市と農村の所得格差拡大に対処するための政策を実施しようとしている。


1東アジア新興経済国とは、東アジアの途上国(中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムおよびその他の小規模経済国)、ならびに4つの新興工業国(香港、韓国、シンガポール、台湾)を指す。





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