オビアゲリ・エゼクウェシリ 世界銀行アフリカ地域担当副総裁 アフリカで何かが起こりつつある。何十年もの苦境を経て、アフリカの多くの国々はようやく窮地を脱し、より迅速で安定した経済成長の道を歩み始めたようにみえる。
アフリカ経済は、30年ぶりに初めて世界経済と歩調を合わせて発展し、2年連続で5.4%の平均成長率を達成している。原油と鉱物の価格上昇がこうした成長の一端を担っているが、今日、アフリカの全人口の3分の1以上が暮らす資源に乏しい国々でも、過去10年間に4%以上もの成長を遂げている。
政策面でも改善がみられる。インフレ、財政赤字、為替レート、対外債務の返済において管理が向上し、経済が貿易や民間企業に一段と開放されている。政府の統治機能も改善されつつあり、民主主義や不正の取締り強化も進んでいる。経済成長のおかげで、貧困との闘いにも成果が上がり、ミレニアム開発目標(MDGs)を達成するための努力が実を結びつつある。
例えば、小学校に通うアフリカの子供たちの割合は、1991年に72%だったのが、2004年には96%に増えたほか、貧困の割合も44%(90年)から2015年には38%まで削減される見通しである。だが、こうしたプラスの兆候とは裏腹に、依然として深刻な課題が多く残っている。アフリカの人口の3分の1は、低成長国、もしくは全く成長していない国々に暮らしており、彼らの生活は悲惨で、悪化の一途をたどっている。
ここ数年、国際社会はアフリカをしだいに重視するようになり、成長促進と生活水準の向上にひたすら励むアフリカの努力に対し、一段と認識が高まってきている。にもかかわらず、公的援助増額の合意は遅々として具体化していない。我々はアフリカのパートナーとして、約束を果たす必要がある。
アフリカの一般市民の生活向上を実現しようとするならば、国際社会はパートナーとしてアフリカを引き続き支援していかなければならない。それは、貿易に対する門戸開放の動きを実行し、約束どおりに援助を提供し、この将来性にあふれるアフリカが、その潜在的可能性を実現できるよう支援していくことにつながる。我々の仕事は、アフリカの国造りとか、そのための監督ではなく、アフリカの潜在力を解き放つことである点をよく理解している。
2005年に英国・グレンイーグルズで開催されたG8サミット(主要国首脳会議)で、日本は向こう3年間でアフリカへの政府開発援助(ODA)を倍増すると公約した。日本は今年、この約束を果たす意志のあることを、世界に示すことのできる2つの機会に恵まれる。
まず、5月に横浜で開催される第4回アフリカ開発会議だ。ここでは、アフリカの課題についてのアジアの見解を、アフリカ開発に関する国際的会合の最前線に押し出す機会となろう。さらに、7月に北海道洞爺湖で開かれるG8サミットでは、グレンイーグルズでの期待に応えるため、日本がとるべき方向性をしっかりと示し、G8のメンバーに同様の行動をとることを促す絶好の機会となろう。 今日、アフリカの全人口のほぼ半数は14才未満の子供たちである。彼らは明日を担う起業家であり、教員、技術者、そして農民なのである。彼らは世界の中で引けをとらずに前進できると期待するだろう。我々は彼らを失望させてはいけない。日本の力強いリーダーシップと支援により、決してそうはさせないと確信している。
(2008年1月11日付読売新聞朝刊解説面に掲載) |