グローバル・ヘルス-日本に求められる指導的役割

東京にて世界銀行、日本医療政策機構共催によるグローバル・ヘルス・サミット-小泉元首相とプマピ人間開発担当副総裁を基調講演スピーカーに迎えて

Read inEnglish

080216_ghs_01

基調講演に臨む
小泉純一郎元首相

2008年2月16日、東京 – 2008年は北海道洞爺湖での先進8カ国首脳会合(G8サミット)を控え、世界の政策担当者の注目が日本に向けられている。そうした中、トップ・レベルの保健政策専門家やビジネス界のリーダー100名が参加してグローバル・ヘルス・サミット(世界銀行、日本医療政策機構共催)が2月16日、東京にて開催され、保健分野の課題を広く一般に知らしめる絶好の機会となった。

2008年に開催される第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)とG8サミットに向けて昨年11月、高村外務大臣が、グローバル・ヘルス分野における日本外交のリーダーシップに関する演説を行った。また2008年1月26日には福田首相がダボス会議に出席し、G8サミットの議題のうちアフリカ開発について「人間の安全保障」の観点から「保健、水、教育」分野に焦点を当てたいと発表するなど、グローバル・ヘルス(国際保健)分野が注目を集めている。今回のグローバル・ヘルス・サミットでは、日本が世界の保健分野でどのような貢献ができるのか、様々な分野の専門家が集い、具体的に可能な政策について議論を行った。

グローバル・ヘルス・サミットの冒頭、小泉純一郎元首相が基調講演を行い、栄養、予防衛生、環境の問題に積極的に取り組むよう強く呼びかけると共に、日本が戦後の混乱期に貧困と栄養不良の問題を抱えていたことに言及し、環境の問題だけでなく保健分野でも日本がリーダーシップを発揮するべきと述べた。同サミットは「Advancing our promises for TICAD IV / G8 and beyond(TICAD IV、G8とそれ以後に向けて約束を深める)」を公式テーマに開かれた。”

080216_ghs_02

ジョイ・プマピ世銀副総裁

世界銀行からはジョイ・プマピ人間開発担当副総裁および専門家チームが参加し、同総裁が、途上国における保健サービス強化の必要性について講演を行った。また、世界の最貧困層が質の高い保健サービスを利用しやすくなることが緊急に求められていると強調すると共に、ミレニアム開発目標の8つの目標のうち、特に1(b)、4、5が「置き去りにされている」として達成に向けた歩みを加速するよう呼びかけた。

プマピ副総裁は、朝日/インターナショナル・ヘラルド・トリビューンに2月16日に掲載された論説で、今年夏のG8のアジェンダに向けてグローバル・ヘルスの重要性を以下のように説明した。「日本のリーダーシップの下、グローバル・ヘルスサミットでの今回の議論により、なぜ世界の保健状態がわれわれすべての問題であるのかが今一度明らかになるだろう・・・途上国が基本的サービスをタイミングよく提供できるよう自らの保健システムを強化するのを支援することについても、もっと着目し、大幅に資金を増やさなければならない。具体的には、『保健システムの強化』とは、適切なロジスティックスを整えて、救命用の薬品や保健従事者を最も必要とする現場へと届けられるようにすることを意味する」。同副総裁はかつてボツワナ保健大臣やWHOのファミリー・コミュニティ保健担当局長補佐官を務めた経験がある。

また、開発分野における国際的なリーダーの一人である緒方貞子国際協力機構(JICA)理事長と、民主党の鳩山由紀夫幹事長がビデオ・メッセージを寄せた。緒方理事長は、「人間の安全保障」の重要性を強調し、また、鳩山由紀夫幹事長は、日本でTICAD IV, G8サミットが開かれるという重要な年にグローバル・ヘルス・サミットが開かれ、開催国日本からメッセージが世界に届けられることが重要であると語った。


北海道洞爺湖サミットでは気候変動とアフリカ開発の優先項目といった難しい課題が最優先される見通しだが、こうした地球規模での重要課題のどちらにもグローバル・ヘルスの問題は密接に結びついている。保健分野の研究、医療現場、さらにはビル&メリンダ・ゲイツ財団やビジネス界のリーダーたちが一堂に会した今回のサミットでは、グローバル・ヘルスの取り組みを推進し、途上国における医療システムを改善するに当たって日本が、現行のODAプログラムの観点から、そして長年にわたり「人間の安全保障」という概念に取り組んできた立場から、どういった役割を担うべきであるかが重要な議題となった。

午後に行われたパネル討論では、日本国際交流センター理事長の 山本正氏、米倉弘昌氏(日本経済団体連合会副会長)、タチ・ヤマダ氏(ビル&メリンダ・ゲイツ財団 国際保健部門プレジデント)、ジェイ・ナイドゥ(南アフリカ開発銀行会長)がこうした点について議論を深めた。ファシリテーターは、日本の著名な放送ジャーナリストでNHK解説委員の道傳愛子氏が務めた。

080216_ghs_03080216_ghs_04

グローバル・ヘルス・サミットのパネリスト
左から山本正氏、米倉弘昌氏、
タチ・ヤマダ氏、ジェイ・ナイドゥ氏

日本医療政策機構代表理事黒川清氏

日本医療政策機構の代表理事で内閣特別顧問の黒川清氏は閉会の辞で、日本は内向きな発想から脱け出して世界の途上国に対する援助と技術協力を拡大させる必要があると述べた。同氏は今回のグローバル・ヘルス・サミットの開催を支えた中心的人物として、世界銀行との連携や、きわめてハイレベルな関係者の参加実現に大きな役割を果たした。

今回のグローバル・ヘルス・サミットでは、TICAD IV、G8サミットで保健分野が議題に上がっている中で、グローバル・ヘルスにおける課題は何か、Action・Planを作成する上で、政府、国際機関、ビジネス界、官民の援助団体がどのように連携していくことが可能か、「意識の醸成」ができたことが重要である。今回のグローバル・ヘルス・サミットの準備期間の中では、世界銀行の人間開発ネットワーク・チームが、国会議員、財務省、外務省など日本政府のハイレベルな関係者、ならびに国際協力銀行(JBIC)およびJICAなど開発機関と長期間に渡って対話を続けてきた。

2月17日には、保健医療分野で活動する日本の国際協力NGOのネットワークであるG8サミットNGOフォーラム保健医療ワーキンググループが主催し、グローバル・ヘルス・サミット専門家セッションが行われ、サミットの主要な参加者とNGO団体をはじめ医療分野の専門家が意見交換を行った。

 

配布資料

プマピ副総裁資料(




Permanent URL for this page: http://go.worldbank.org/DPRJU09EF0