Background documentation Related articles and Multimedia Other resources 環境面ですでに「取り返しのつかない」被害が発生-世銀報告書が警告ワシントンDC、2007年12月5日 - 気候変動はラテンアメリカの人々と生態系に大きな犠牲を伴う甚大な影響を与えることになる-世界銀行の報告書「ラテンアメリカの気候-今後の見通し」の中で 、世銀のラテンアメリカ・カリブ海地域 担当リード・エンジニアのウォルター・ベルガラは警告している。5部構成の同報告書は、ラテンアメリカ・カリブ海地域が直面する環境問題を取り上げたもので 、新たな事実も交え分析している。 「ラテンアメリカにおける気候変動の影響はきわめて深刻で、主要な生態系とその機能に取り返しのつかない影響を与えると見られる」とベルガラは指摘する。同報告書では、2008-2099年の期間における気候変動について詳細に予測している。算出には日本の気象研究所 の「地球シミュレータ」 スーパー・コンピュータとそのデータが用いられた。 結果は、気温上昇と降水量の変化が主要地域に与える影響について暫定的にではあるが重大な兆候を明らかにし、ひいては適応戦略にとっての“道筋”を示すものとなっている。 報告書のひとつ「ラテンアメリカにおける気候変動の影響」は、最近のリサーチを基に、カリブ海盆のサンゴ生態系の破壊、氷河の急激な消失、そして強大化するハリケーンなど、この地域が憂慮すべき影響を受ける可能性を明らかにしている。 - サンゴ白化現象は、2005年夏の熱波およびハリケーンの影響の結果、カリブ海盆のサンゴ礁の80%以上に及んでおり、 サンゴ礁で棲息・繁殖する魚類に広範な害を与える可能性がある。サンゴ白化現象はまた、サンゴ礁の美観を損なうことで、観光業への脅威にもなる。
- アンデス山脈での 気温上昇は特に極端になると予想される。「上昇率は予測される平均的気温上昇の2-3倍になると予想される。これ程大幅な変化になると、アンデス山脈の生態系に回復不能な影響を及ぼすことになるだろう。特に直接的な影響を受けるのは熱帯氷河など高山の生態系である」と同報告書は警告する。
- 小規模な氷河はその大半が一世代のうちに消失すると予想され、標高の低い氷河にいたっては2026年までに完全に消失しかねない。氷河後退による経済的影響は憂慮すべきもので、電力部門での損害は「数十億ドルにも上り」、農業や給水に影響を及ぼすだろう。 「こうした代償は実際に気候変動税という形で、問題の一因になったとはほとんど言えない人々が支払うことになる」とベルガラは指摘する。
- 気候変動の問題における大半のケース同様、気候変動により深刻な影響を受けるのは、この問題の発生に一番責任がある地域や人々ではない。ラテンアメリカは温室効果ガス排出が特に多い地域ではないにもかかわらず、気候変動の影響を大きく受けることになる。 世銀の専門家は、二酸化炭素を撒き散らしている国々は温室効果ガス排出低減に向け努力する「道徳的責務」を担うと強調する(ラテンアメリカは世界の温室効果ガス排出量のうちわずか6%を占めるに過ぎない)。
- 気候変動は、パラモス(アンデス北部の湿地帯)に水蒸気を運ぶ大気の循環パターンにすでに影響を及ぼしたかもしれず、山岳地帯の生態系固有の植物相を脅かしている可能性がある。山岳地帯の湖の後退により、ボゴタやキトなど大都市での水の供給が影響を受けるかもしれないという警戒すべき可能性が浮上している。
- 環境の急激な変化は、低炭素経済を弱体化させてしまう悪循環を引き起こす可能性さえ秘めている。アンデス山脈での水力発電源が失われると、各国は一番安価な代替燃料、すなわち化石燃料を求めるようになるかもしれないからだ。
- さらに懸念すべきは、アマゾン盆地の生態系破壊が原因となって、広大な地域が砂漠化する可能性があることだ。アマゾンの熱帯雨林は莫大な量の二酸化炭素を吸収するという重要な役割を果たしている上、地球上の多様な生物の4分の1が棲息している。
- 気候モデルは、降雨量の極端な低下に気温上昇が重なって、アマゾン盆地が徐々に「サバンナ化」するという可能性を示唆している。同報告書は、これがこの地域での気候変動の結果としておそらく単独では最も深刻なものであるとしているが、「見通しと結果に対する理解は未だ十分でない」とも指摘している。
同報告書は、気候変動の影響についての重要な分析を示すと同時に、さらなる調査やより詳細なデータが引き続き必要であること、また将来の気候を正確に予測するには限界があるとの認識が求められることを指摘している。 地球シミュレータは、気温上昇だけでなく水循環に変動が起こり極端な乾燥期と極端に降雨量の多い時期が繰り返すだろうと予測する研究を裏付けた。コンピューターを使った分析の結果、北米およびラテンアメリカの大半で最高気温が30度を超す日が毎年30日間増えると予測されている。コロンビアで行われた最近の研究では、気温上昇や降雨量が病原菌性の熱帯病であるマラリアやデング熱と深い関わりがあることが正式な検証の末に結論づけられた。従って、気候変動はラテンアメリカにおける医療費の増加をまねくことになると、同報告書は指摘している。 ハリケーンの強大化に伴い、中央アメリカでは1995年以来ハリケーンによる地滑りの件数が増加しており、経済や生態系に影響が出ている。同報告書によると、過去にハリケーンによる地滑りの頻度の高かった10年のうち4年は過去10年以内に入っている。「ラテンアメリカは気候変動による大きな影響を受けやすく、それはすでに始まっています」とウォルター・ベルガラは繰り返す。 世界銀行は、気候変動の影響のいくつかは今ではもう避けられず、取り返しがつかないかもしれないという理解の下に、適応の取組みを推進してきた。今回の報告書は世銀が関わっているプロジェクトの重要性と、さらなる対策の必要性を強調するものである。 「ラテンアメリカの気候-今後の見通し」 (英) 
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