教育への国際支援

デズモンド・バーミンガム(万人のための教育―ファスト・トラック・イニシアティブ)事務局長

「万人のための教育―ファスト・トラック・イニシアティブ(EFI―FTI)」という国際組織をご存じだろうか。二〇一五年までに、世界のすべての子どもたちが質の高い教育を受けられるようにすることを目的とした支援国と途上国の連携組織だ。二十一日から東京で、支援国による一連の会議が開かれる。

そこでは初等教育の完全普及に向け、現在、低所得国が直面している資金不足をどう解決するかという問題が話し合われる予定だ。教育は人間、社会、経済の発展のカギを握っている。しかし、多くのアフリカ諸国は資源不足で十分な教育を提供できないでいる。

五月には第四回アフリカ開発会議(TICAD)が横浜で、七月には主要国首脳会議(サミット)が北海道で行われる。これらの会合を通じて、日本が国際社会でのリーダーシップを発揮し、教育分野での資金不足の解消や、長期的な資金補充メカニズムの確立に向けた成果を示すことが期待されている。

先に福田康夫首相は、教育とは「自立と発展の基礎」だと述べた。日本は教育と研究に対する長年の投資の結果、世界屈指の「知識立国」となった。また、首相は、質の高い教育の完全普及のためには「国際的連携を強める必要がある」とも指摘している。

まったく同感だ。「連携」こそが、FTIの運動の中核をなすからだ。低所得国側は独自の投資を拡大、初等教育を優先課題とすると約束。一方、支援国は支援拡大と同時に、より透明性が高く予測可能な形で支援を進めると約束している。

今年はサミット議長国、日本のリーダーシップの下で、過去十年間の成果を踏まえてさらに前進する必要がある。一九九九年から二〇〇五年の間に、途上国では全く教育を受けられなかった四千七百万人の子どもが新たに初等教育に就学した。何よりも途上国自身が達成した成果だ。FTIの援助対象となっている三十三カ国で非就学児童数は、この八年間で二六%も減少したが、現状に満足している余裕はない。

世界には依然として七千二百万人もの未就学児童がいる。この子たちが教育を受けられるようにし、教育の質を高めるということを世界的な優先課題としなければならない。一五年までに初等教育の完全普及を達成するためには、アフリカだけで推定四百万人の教員を雇用する必要がある。

基礎教育のための資金援助は増加しているがまだ不十分だ。ユネスコ(松浦晃一郎事務局長)は、年間九十億ドルの追加資金が必要と推定している。〇五年の低所得国の基礎教育に対する援助はわずか三十八億ドルにすぎず、政府開発援助(ODA)総額の一%にも満たなかった。途上国側は、国家予算の一五―二〇%を教育に当てているが、目標の達成には外部資金が必要だ。

過去五年間、途上国の教育プログラムを策定する初動基金を提供、支援してきたFTIの「触媒基金」は今、財政危機に直面している。支援対象国のニーズを満たすためには、今後一年で十億ドルが必要と推定されている。「ミレニアム開発目標」に掲げられた初等教育の完全普及は達成可能であり、今こそ緊急の対策が必要だ。

 

デスモンド・バーミングガム

六十三年英国生まれ。オックスフォード大学卒、同大学院修了。英政府の国際開発庁でアフリカ諸国の教育振興に従事し、〇六年から現職。

(共同通信)




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