食糧危機への対応について

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世界食糧危機対応ファシリティ:

世界銀行グループは本日、世界的な食糧危機に対する国際社会の取り組みを支援するため、新たに12億ドルの融資制度を設立して緊急ニーズに対応すると発表した。この制度により迅速な支援を進めようというもので、最貧困国の弱者を対象とした2億ドルのグラントも含まれている。この新融資制度は、国際開発協会(IDA)と国際復興開発銀行(IBRD)の融資適格国に対する投資や財政支援に充てられる。新規プロジェクトだけでなく、バングラデシュ政府による危機対応を支援するバングラデシュ移行支援融資(2億ドル)など準備中の緊急プロジェクトも対象となる。

 

単一ドナーによる信託基金:

世銀では、世銀グループで中所得国への支援を行う国際復興開発銀行(IBRD)の収益から移転された資金を利用して、2億ドルの信託基金設立を進めている。この信託基金は、最も不安定で、深刻な打撃を受けた貧しく、緊急資金調達の手段を持たない国々や地域への緊急支援に充てられる。同信託基金には1カ国につき1000万ドルの上限が設けられており、世界食糧危機対応ファシリティの下で、ハイチ(1000万ドル)、ジブチ(500万ドル)、リベリア(1000万ドル)に対するグラントがそれぞれ承認される。さらに6月には、タジキスタン、トーゴ、イエメンに対する申請が認められる予定である。これらのプロジェクトは、最弱者に対するセーフティ・ネットや、栄養不良解消のための微量栄養素、小規模農家を対象とした種子や肥料の緊急配付に充てられるほか、一部の国での歳入の大幅な減少を埋め合わせるものである。世銀はこのほかにも7カ国から申請を受けており、これらについても迅速に処理していく。

 

マルチドナーによる信託基金:

今回の危機への各国の取り組みに対しほかの開発パートナーの支援を促進するため、マルチドナー信託基金(MDTF)の設立が進められている。同信託基金は、世界食糧計画(WFP)、食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)による緊急食糧援助活動を補完するもので、小規模農家を中心に今後の収穫に向け種子や肥料など農業生産への直接支援を行う。マルチドナー信託基金はまた、開発パートナー間の政策的・実務的調整を促進し、各国への支援を総合的かつ各国の事情に沿った形で進める。

 

農業支援の拡大:

世界銀行グループは、世界の農業に対する支援を本年の40億ドルから来年は60億ドルに引き上げる予定である。ここには、IBRDの貸付とグラント、ならびに世銀グループで最貧困国を支援する国際開発協会(IDA)からの極めて譲許的な融資、アグリビジネスや貿易金融への資金援助が含まれる。たとえば、農業分野への融資はアフリカで4億5000万ドルから8億ドル以上に、ラテンアメリカでは2億5000万ドルから4億ドル以上に引き上げられる。世銀はまた、南アジアにおける農業・農村開発の新規プロジェクトに10億ドル以上の支援を予定している。さらに、社会的保護、栄養、食糧の安全保障、社会リスク軽減への貸付は来年約8億ドルへと倍増の予定である。IFCからのアグリビジネスや農業貿易向けの資金援助活動は17億ドル以上に引き上げられる(本年は13億ドル)。

 

リスク管理ツール:

世銀理事会からいくつかの提案が示され検討を求められている。

6月に、理事会は貧困国が天候デリバティブにアクセスできるよう世銀が金融市場の仲介役を果たすという案について検討する。この案は、干ばつによってトウモロコシの価格が対応できないほど高騰した場合にこうした国々を守るもので、降水量を計測するインデックスと連動している。降水量がある一定の水準を割り込むと、その国に補償金が支払われる仕組みだ。その補償金があれば、トウモロコシの価格上昇に備えコール・オプションの購入が可能になる。

現在検討されている2つめの提案は、世界銀行グループのメンバーで民間セクター開発を推進するIFCからのものである。インデックス・ベースで天候・災害リスクを負担する企業を設立することによって、途上国の小規模農家のための穀物・家畜保険を支援する計画である。世界インデックス再保険ファシリティ(GIRIF)は、農民や農村コミュニティを主な受益者に想定している。

世銀とパートナー機関はすでに、天候に関するリスク分散の取り組みを進めている。エチオピアでは、WFPが世銀の「市況商品リスク管理グループ(CRMG)」から技術協力を得て、2006年の農作業期に著しい干ばつが起こった場合に臨時資金を提供する人道援助天候デリバティブを導入した。

 

政策支援:

世銀では、資金援助以外にも、支援対象国に対し政策・技術・リサーチ面の助言を行っている。過去6カ月間に、40カ国以上の政府が食糧価格高騰への対応方法について世銀に助言を求めた。WFP、FAO、IFAD、「アフリカの開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」、ユニセフなどとのパートナーシップの下、世銀はニーズ調査を25カ国以上で完了し、このほかに10数カ国で進めている。社会・農業分野でのニーズ調査は、こうした国々への政策対応や資金援助において指針の役割を果たすだろう。 

 

現在進行中の世銀グループの活動例

アフリカ地域:

世銀はブルキナファソ、ブルンジ、コートジボワール、ガーナ、マダガスカル、マリ、ニジェールに対し、追加支援と既存プロジェクトの再編により1億ドルを提供する。

緊急ニーズ調査がブルキナファソ、ブルンジ、リベリア、マリ、シエラレオネ、トーゴで完了した。さらにエリトリア、ギニア、ギニアビサウ、ケニア、マラウィ、モーリタニア、ニジェールで、調査が現在進められている。
ギニアでは、食糧や石油の価格急騰に政府が対応できるよう、緊急財政支援プロジェクトを準備中である。
エチオピアでは灌漑・水管理の取り組み、マラウィでは肥料の利用、セネガルでは小規模農家の市場アクセス、マリとウガンダでは栽培作物の多様化に取り組んでいる。

 

ヨーロッパ・中央アジア地域:

キルギスとタジキスタンで、栄養不良ならびにビタミンAや鉄、葉酸など特定の栄養素の不足に重点的に取り組むべく、妊婦や授乳中の母親、乳児、幼児を対象とした栄養補助剤のための資金援助を行っている。どちらの国でも、農家や畜産農家のための制度・インフラ環境改善と、増産・生産性向上のためのプロジェクトを準備中である。
ウクライナとロシアでは、農作物増産と生産性拡大を支援している。

 

ラテンアメリカ・カリブ海地域:

ハイチ政府がマクロ経済の安定を維持し、援助対象の絞込み、農民の所得拡大に向けた増産に対し、1000万ドルのグラントを提供している。
ホンジュラスでは、食糧価格高騰の悪影響への国の対応への支援を強化するため食糧危機関連の緊急プロジェクトを準備中である。

 

中東・北アフリカ地域:

ジブチとイエメンで2件の緊急対応プロジェクトを準備中である。ジブチでは、政府が5種類の主食について国内消費税を全廃した。世銀の支援により、新たな税務政策が策定されるまでの間も財政バランス維持が図られる。

 




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