世界銀行グループ、年次総会を前に開発と気候変動に関する報告書を準備

  • 今月開催される世銀・IMF年次総会では、気候変動が主要テーマのひとつ。
  • 地球温暖化に取り組む世界銀行グループの役割を新しい戦略枠組みで提示。
  • 新設の気候投資基金制度は国連の気候変動交渉を支援し、将来のアプローチのため実質的な経験と知識を集約。

2008年10月7日 - 国際金融危機が大きく報道されているなか、途上国が気候変動の課題に対応できるよう支援する取り組みに賛同した国々もある。

先進10カ国は9月26日、ワシントンDCの世界銀行での会合で、新設の2つの気候投資基金に対して61億ドルの拠出を表明した。これらの基金は省エネ、風力や太陽熱などの低炭素技術、気候変動の脅威に屈しない途上国の新しい手法の試験実施、森林への投資、再生可能エネルギーのいっそうの推進を支援する。

クセンニャ・ルヴォヴスキー世界銀行主任環境エコノミストは、「金融危機の真っ只中での」気候変動に対するこうした取り組みへの強力な支援には勇気づけられると述べる。「気候変動は各国のリーダーにとって引き続き大変重要な課題だ」

実際、今月開催予定の世界銀行・IMF年次総会でも、気候変動は主要な話題のひとつとなることが予想される。

多くの行事が予定される中、世界銀行は10月12日、各国の開発・財務大臣に対して新報告書「開発と気候変動:世界銀行グループの戦略枠組み」を提出する。

「戦略枠組み」は、5ヶ月以上にわたり76カ国1800人以上が参加したコンサルテーションを経て作成され、原因とは一番程遠い国々が最大の被害を受ける(気候変動という)課題に対する世界銀行グループの役割を定義している。

エコノミストたちは、大気中の二酸化炭素を安定させるためには、今後数十年間に年間2000億ドルから1兆ドル以上かかると計算している。加えて、最も脆弱な国々が気候変動に適応するために毎年数百億ドルかかるだろう。

現在の財源からは途上国に対して毎年約100億ドルしか提供できないにもかかわらず、取り組むべき課題はきわめて大きいと、ルヴォヴスキーは指摘している。

 

各国の適応への支援が主な役割

気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)が温暖化ガス削減に向けた国際的な政策と協力を主導する一方、世界銀行グループは、世界で最も貧困に苦しむ国々が気候変動に適応し、リスクを管理できるよう支援することを重視している。

世界銀行グループは、他の開発パートナー機関とともに、気候変動への適応のために必要な資金の確保に取り組んでいる。新設の基金に対して拠出される61億ドルのうち、10億ドル弱が戦略的気候基金に向けられる。このうち大部分は、最も脆弱な低所得10~15カ国による気候変動に屈しないための試験的プログラムに資金を提供する。

エネルギーへのアクセスも引き続き優先課題

世界銀行グループはまた、エネルギーへのアクセス改善にも力を入れている。約16億人が依然として電気のない状態で生活している。

伝統的なエネルギーが「もうしばらくの間、使われる」一方、世界銀行は、再生可能エネルギー、省エネ、よりクリーンな伝統技術を活用して各国が主導し、持続可能な方法でエネルギー資源を開発できるよう支援することを目標としていると、ルヴォヴスキーは述べる。

新しい戦略枠組みは、低炭素エネルギーに資金提供を開始した世界銀行グループの取り組みに基づいている。

  • 再生可能エネルギーと省エネに対する資金は、今年6月30日までの2008年度に87%増加した。拠出額は27億ドルに達した。
  • 低炭素エネルギープロジェクト支援の割合は2003~05年度の28%から2006~08年度の41%に増加した。エネルギー分野の融資は2003~05年度の70億ドルから2006~07年度は150億ドルに増加した。
  • カーボンファイナンスは21億ドル規模に成長し、10基金に対して16政府・66企業が参加している。カーボンファイナンスは低炭素投資を支援する主要な方法のひとつである。

2006~08年度のエネルギー・セクターの融資のうち約30%は途上国の人々のエネルギー・アクセス支援に向けられ、このうち12%が送電・配電であった。エネルギー・アクセスと低炭素プロジェクトは2006~08年度の世界銀行グループ全体のエネルギー融資の66%に達した。

戦略枠組みでは、2011年までに世界銀行グループのエネルギー融資の50%が低炭素プロジェクト向けになると予想している。

私たちの主な役割である貧困削減を果たすにあたり、途上国の発展が気候変動の影響で妥協しないようにすることだ」とルヴォヴスキーは述べる。

再生可能エネルギーと省エネ・プロジェクトがもたらす新しい機会

新設のクリーン技術基金は低炭素発電・交通技術、建造物・産業・農業の省エネを拡大するために52億ドルを提供する。

風力・地熱・集光型太陽熱発電、都市交通、需要・供給側の省エネ努力は、投資の可能性のある領域だと、ロヒット・カンナ世界銀行上級業務担当官は述べている。

クリーン技術基金は、大規模な技術の展開を支援するが、研究段階の技術は支援しない。「実用の準備が整った技術に対する大規模な投資を行う予定。試験段階を終え、拡大のために次の段階に進む準備ができたものに注目している」とカンナは言う。

「もしクリーン技術基金が、今日の風力発電と同じように集光型太陽熱発電の稼動にも支援できれば、きわめて大きな成果だ」と付け加える。「風力にかかるコストはこの10年で劇的に低下した。もし今後5年間、太陽熱発電のコスト低下を加速できれば、大きな影響をもたらすことができる」

重要な中期財源としての基金制度

気候投資基金制度の資金は、各国の開発戦略に位置づけられ、炭素排出を大幅に削減しうるプログラムに向けられる。これには時限条項が設けられており、現在進行中の国連の気候変動の交渉を損なうものではない。

「新しい気候変動合意のもとで多額の資金が途上国に向けられるように期待したい。それが実現するまでは、利用できる資金を増やし、開発関係者の間で必要な知識を集約する必要があるのは明らかだ」とカンナは指摘する。




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