課題
インドは深刻な電力不足を抱えており、全国で半分近くの世帯が電力を利用できないでいます。2007年と2008年におけるインドの国民一人当たり年間平均電力消費量は、世界平均の約30%に過ぎませんでした。発電容量は、現在の電力需要を満たすには十分でなく、個人に電力を届けるための送電・配電網も整備されていません。インドのエネルギー源は国中に偏在しているため、余剰地域から不足地域に電力を効率的に回すことが極めて重要です。したがって、インド全土における送電網を強化・拡大し、全国的な送電網を整備する差し迫った必要性があります。
アプローチ
IBRDは、インド政府とパワーグリッドが国内のエネルギー不足に対応するに当たって革新的融資や専門的な助言を行うことで、この国のエネルギー・プログラムに10年以上にわたり関わってきました。
一連の電力システム開発プロジェクト(PSDP)の下、世銀はパワーグリッドに5回にわたり直接融資を提供してきました(1993年にPSDP I、2001年にPSDP II、2006年にPSDP III、2008年にPSDP IVとPSDP IVへの追加融資、2009年にPSDP V)。これまで、IBRDはインド電力セクターの状況に合わせた形で31億ドルの財政支援と技術支援を提供しています。
1993年から2003年にかけて、世銀は地域の送電網強化や電力の域内移転など、パワーグリッドを通じて全国的な送電網開発を集中的に支援しました。次の段階の融資が始まったのは、発電と送電(および、一部分配)のためのバランスの取れたアプローチを世銀が採用した2006年になってからです。
2007年、インドにおける1989年以降初の世銀資金による水力発電開発として, ランプル水力発電プロジェクトが始まりました。近年、世銀は中央政府や州政府レベルでさまざまな公益事業のキャパシティ・ビルディングや組織強化に関わっています。
結果
パワーグリッドは近年、すべての開発目標指標において目標を達成しています。2009年6月30日までの年度には、以下の成果を上げました。
• 地域内/地域間での電力取引:460億2700万キロワット時(目標460億キロワット時)
• 送電容量:7万1447サーキット・キロ(目標は7万1000サーキット・キロ)
• 変電容量:7万9522メガボルト・アンペア(MVA)(目標は7万5000MVA)
現在、国の東端に位置するアルナカル・プラデシュの水力発電が特別設計の送電線を使ってウッタル・プラデシュの家庭に運ばれています。はるか南のタミール・ナドゥの電力技師たちは、北部パンジャブの天気予報を頻繁にチェックして、電力取引の機会を探っています。また、インド本土の南端にあるガス発電のカヤムクラン発電所は、冬場に稼動し、凍えるようなカシミールの夜の寒さを和らげています。
インドの送電システム業者も、送電可能量量を常に99%以上で維持しており、これは国際的な公益事業者と同レベルです。
パワーグリッドは、送電網を3倍に拡大し、現在、世界でも有数の大規模送電システム事業者となっています。
将来に向けて
世界的な不景気を受け、またインド政府の要請もあり、世界銀行は2009年9月22日にパワーグリッドに対し10億ドルを融資しました。パワーグリッドはこの融資を5つの送電システム強化に充て、余剰電力を抱える地域から不足している町や村への移転を促進していきます。また、これにより、国内の送電網の統合が進み、その結果、システムの信頼性が高まり、送電損失が減るでしょう。





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