世界銀行パブリックセミナー「防災とソーシャルメディア」

 
開始::   Jan 17, 2012 10:00
終了::   Jan 17, 2012 12:00

~震災復興に向けて~

2012年1月17日、東京 - 世界銀行東京事務所は本年10月に日本で開かれる世銀総会のテーマの一つとなる防災に関し、防災とソーシャルメディアと題したパブリックセミナーを1月17日に開催しました。

昨年3月に日本を襲った東日本大震災での被災者に対する支援では、これまでの震災の場合と比べITとソーシャルメディア活用という点に大きな特徴があったと言われています。
今回のセミナーでは被災者への支援活動に携わった4名のゲストをスピーカーおよびパネリストとして迎えて行われました。

防災先進国である日本が震災から学んだ教訓などを、世界の公共財として今後の途上国の開発戦略にどのように活かしていくことができるかをテーマに、ソーシャルメディアと防災の関わりについてのプレゼンとパネルディスカッションが行われました。

最初に助けあいジャパン理事の石川淳哉氏がスピーカーとして登壇し、震災直後に同団体を立ち上げた経緯を紹介しました。インターネットとソーシャルメディアがなければ、同団体の活動そのものが成り立たなかったと話す石川氏は、特に情報レンジャーと呼ばれる被災情報収集目的のボランティアが、一人一人の被災者の状況を発信し、ニーズに迅速に対応することが可能となった事例を、映像を交えて説明しました。

開会の挨拶を述べる谷口和繁世銀駐日特別代表

石川淳哉 (助けあいジャパン理事、(株)ドリームデザインCEO、(株)イマズマCEO)

次に登壇したのは仙台大学教授(元朝日新聞論説委員)の高成田享氏で、マスメディアとソーシャルメディアの対比という視点や、災害時のメディアの役割、特に被災地におけるニーズにメディアがどう応えるかという観点からの注意点や課題などを説明しました。
印象に残ったいくつかの事例として、例えば家族などが異なる避難所でばらばらになり、安否確認もなかなかできない状況だったので、インターネット上に各非難所で生活している人々の情報を載せて家族の安否確認を支援しようという動きと、それは個人情報の露出となり、かえって問題とする行政サイドの懸念も出たとの説明がありました。

最後の登壇者はソーシャルメディアコンサルタントの市川裕康氏。世界中で発生している大規模な自然災害に対して海外の防災支援事例を紹介しました。まずは日本のSinsai.infoという被災者支援ポータルサイトにも用いられた、Ushahidi(ウシャヒディ)という情報の可視化を行う地図アプリケーションや、Crisis Mappers Net(地理情報の活用を通じた災害危機管理の専門家向けポータル)など、情報の視覚化が防災に役立つ事例を紹介。そしてアメリカの行政機関の一つであるFEMA(連邦緊急事態管理庁)のソーシャルへの取り組みなどを紹介しながら、ソーシャルメディアが扱う「データ」とその「双方向性」は行政にも有効活用される可能性があることを示唆しました。

高成田 享 (仙台大学教授、元朝日新聞論説委員)

市川裕康 (ソーシャルカンパニー代表、ソーシャルメディア・コンサルタント)

その後のパネルディスカッションでは大震災直後に、Sinsai.infoを立ち上げた関治之氏がパネリストに加わり、技術者が専門分野を活用して防災に貢献した事例を説明しました。
パネリストらは今回の震災で各々の活動を通じて、達成できたことや今後の課題、その知見を世界と共有する際に適切なアプローチや障壁となりそうなこと、といったテーマで活発なディスカッションを展開しました。

最後の質疑応答セッションでは、世銀主催の防災ワークショップのために来ていた内外の防災専門家から、専門家がソーシャルメディアを活用して防災や途上国への知見の共有につなげる方法論などについてコメントや質問が出されました。またマスメディアとソーシャルメディアはこれからどうコラボレーションするのか、各国の政府は防災という観点で普段からどういうことを心がけておくべきかという点などについての質問がありました。

パネルディスカッションの様子
(今回は東京事務所初の試みとして、ツイッターのハッシュタグやUstreamを通じての質問がディスカッションに反映されました)

質問をする震災の専門家 Farzard Naeim氏 (EERIチーム 国際アドバイザー)

スピーカープロフィール

高成田 享 (仙台大学教授、元朝日新聞論説委員)
71年に朝日新聞社に入り、山形、静岡支局を経て経済部記者。アメリカ総局員(ワシントン)、経済部次長、論説委員などを経験。96年から97年までは、テレビ朝日「ニュースステーション」キャスターも兼ねた。98年から2002年までアメリカ総局長(ワシントン)。帰国後、論説委員に戻り、米州や国際経済を担当。08年1月から11年2月まで石巻支局長を務める。4月から仙台大学教授。

石川 淳哉 (助けあいジャパン理事、(株)ドリームデザインCEO、(株)イナズマCEO)
1962年大分生まれ。早稲田大学在学中よりマガジンハウスでフリーライター。広告代理店、制作会社勤務を経て、1998年広告制作集団「(株)ドリームデザイン」を設立、カンヌ国際広告祭金賞をはじめ国内外の広告賞を受賞するが、従来の広告ビジネスの枠を飛び超え、「2002 FIFA WORLDCUP PUBLICVIEWING IN TOKYO」「世界がもし100人の村だったら」「retired weapons」などのプロジェクトをプロデュース。2011年、3.11をきっかけに、官民連携の新しいクラウド組織「助けあいジャパン」を設立、救援・復興フェーズの情報支援を継続中。11月には、社会的価値創造集団 inadzuma|イナズマを設立、より良い社会創りに貢献するプロジェクトの推進エンジンを目指す。

市川 裕康 (ソーシャルカンパニー代表、ソーシャルメディア・コンサルタント)
ツイッターやフェイスブック等を活用したビジネスコンサルティング、非営利団体や企業のCSR/社会貢献活動の支援に従事。ソーシャルメディアの公共的な利活用の海外動向を「ソーシャルビジネス最前線」として「講談社現代ビジネス」に連載中。非営利セクターのソーシャルメディア活用を活性化するための交流会「ネットスクエアード東京」主催。 

関連リンク

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助けあいジャパン公式HP:http://tasukeaijapan.jp/ 
市川裕康氏のプレゼンテーション:http://www.slideshare.net/socialcompany 
Sinsai.info みんなでつくる復興支援プラットフォーム:http://www.sinsai.info/ 




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