第2回SATREPS(地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)写真展『地球のために・未来のために ~食卓を守る研究者たち~』

 
開始::   Feb 20, 2012 13:00
終了::   Mar 02, 2012 16:30

独立行政法人科学技術振興機構(JST)、世界銀行情報センター(PIC東京)共催写真パネル展&コーヒーアワー

スーダンのコーナーには、根寄生雑草(オロバンキ)の標本などを設置しました。

2012年2月20日~3月2日、東京 - 世界銀行情報センター(PIC東京)では、日本と途上国が二人三脚で科学技術の向上と発展、人材養成等を目指す国際科学技術協力プログラム、SATREPS(サトレップス)との共催で、昨年の「気候変動」をテーマにした写真展とコーヒーアワーに続き、第2回を開催しました。

SATREPSでは独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)の支援をうけ、現在、世界30カ国以上で60近くのプロジェクトが進んでいますが、今回は特に世界の「食」を巡る取り組みに焦点を当てました。

パナマコーナーには、マグロの稚魚(標本)を展示。マグロは1kg大きくなるのに10kgの餌を必要とします。

アフガニスタンコーナーには、小麦の標本や50年前の木原博士時代の写真が並びました。

コーヒーアワー(1)『スーダン:「魔女の雑草」、ストライガの根絶に挑め!』

2月20日に開催した第1回コーヒーアワーでは、スーダンの主食「ソルガム」に寄生しその収穫量に甚大な被害をもたらす魔女の雑草「ストライガ」を駆除する研究が紹介されました。会場には駐日スーダン共和国大使が来場し、日本の開発協力への謝意を表しました。

まず神戸大学大学院の杉本教授が、大量の非常に微細な粒子の種で、宿主植物の根に寄生して栄養を吸収するストライガの生態を、クイズ形式で紹介しました。続いて、スーダン短期派遣研究員の鮫島さんが、ストライガ対策の有無の違いを農場の写真で紹介し、日本にも生息する同種の根寄生雑草(オロバンキ)対策はスーダンの食糧生産を増大・安定化させるだけでなく、日本も含む世界中の食糧増産に貢献すると述べました。

質疑応答では、ストライガ被害が深刻化した背景や具体策について多くの質問が出ました。極力対策に必要な費用を抑えることがスーダンでは重要で、例えばストライガの発芽を抑える物質を出す、元来自然界にあった植物をソルガムと共に栽培する等、複数の選択肢を組み合わせた研究の最新情報が報告されました。

駐日スーダン共和国大使との記念撮影

クイズ形式でストライガを紹介する杉本幸裕教授

当日のプログラム: ストライガ駆除を目指すプロジェクトの取組みを紹介

杉本幸裕 教授 (神戸大学 大学院農学研究科)
鮫島啓彰 さん (神戸大学 学術推進研究員)
ファシリテータ: 小谷瑠以さん (独立行政法人 科学技術振興機構(JST) アソシエイトフェロー)

コーヒーアワー(2)『アフガニスタン:「希望の種」となる新しいコムギをアフガニスタンに播け!』

2月23日および3月1日に開催した第2回コーヒーアワーでは、2週にわたってアフガニスタンの小麦を保全し、現地の環境に適した新しい品種を改良するプロジェクトを紹介しました。まず横浜市立大学の坂教授が、50年前に故木原均博士が現在世界で主に生産されている小麦の原種をアフガニスタンで発見し、遺伝学的に研究して大量生産を可能にしたこと、それが後にインド・パキスタンの一億人の命を飢餓から救う「緑の革命」へと展開したという小麦研究の歴史を紹介しました。

現在、アフガニスタンでは20年以上の内戦で耕作地のみならず生活基盤や社会基盤までが破壊されたため、生活経済を安定させるためには、主食である小麦の生産基盤再建が必要です。そこで、50年前に採取したアフガニスタン在来種の小麦を里帰りさせ、現地の環境と生活に最適化した新たな品種の開発が進んでいます。坂教授は、このプロジェクトが小麦という一植物の共同研究にとどまらず、自国在来種の遺伝資源を研究する意義、文化を伝えることのできる次世代のリーダー育成に貢献すると説明しました。

多様な小麦の品種を説明する 坂 智広教授 (横浜市立大学木原生物学研究所)

プロジェクトのカウンターパート、アフガニスタンの研究者アリフィさん

当日のプログラム: 小麦研究の歴史と現在の課題、質疑応答。アフガニスタン在住JICA専門家とのスカイプ中継

坂 智広 教授 (横浜市立大学木原生物学研究所)
ファシリテータ: 小谷瑠以さん (独立行政法人 科学技術振興機構(JST) アソシエイトフェロー)

コーヒーアワー(3) 『パナマ:日本人の大好物、マグロの持続可能な漁業と養殖を支援せよ!』

2月27日に開催した第3回コーヒーアワーでは、パナマで行われているマグロの資源保護と養殖の基盤を作るプロジェクトを紹介しました。スピーカーの近畿大学澤田教授が携わるのは、パナマ共和国の水産資源庁、全米熱帯マグロ類委員会(IATTC)、近畿大学の三者の共同研究です。

近年の食文化の多様化に伴いマグロ消費国が拡大し、乱獲や気候変動の影響等でマグロ資源の減少が危惧されています。このような状況の下、現在でも日本はマグロの全漁獲量の約1/4を消費する一大消費国としてマグロ資源を保護する責任を負っています。しかし、外洋を大回遊し生息範囲が広いマグロ独特の生態から、漁獲された個体がいつどこで誰が捕獲したものかの特定ができず、資源管理は一筋縄ではいきません。そこで、持続可能なマグロ漁業の実現に向けて、キハダ、クロマグロの2種の養殖基盤確立を目指す試行錯誤の取り組みが行われています。

近畿大学のプロジェクトは自給自足。美味な養殖マグロの販売経路まで独自に確保

16年養成したクロマグロの剥製。全長220cm、重量196kg

当日のプログラム: マグロ資源をめぐる国際情勢と、パナマでの養殖基盤確立への課題

澤田 好史 大島実験場長 (近畿大学 水産研究所)
ファシリテータ: 小谷瑠以さん (独立行政法人 科学技術振興機構(JST) アソシエイトフェロー)

関連リンク

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地球規模課題対応国際科学技術協力
 (Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development)の略称。独立行政法人科学技術振興機構(JST)と独立行政法人国際協力機構(JICA)の支援の下、日本と途上国が二人三脚で科学技術の向上と発展、途上国の総合的対処能力の向上、両国の人材養成とネットワーク形成を目指す国際科学技術協力プログラム。この枠組みの下、現在、世界30カ国以上で60近くのプロジェクトが日夜、研究を続けています。

 

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