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背景

 

IDAの使命

世界銀行の姉妹機関である国際開発協会(IDA)は、世界で最も貧しい国々に無利子の貸付やグラントを提供することで、これら諸国の経済発展と生活環境の向上を目指す一連のプログラムを支援しています。IDAの資金は、複雑で難しい問題を抱えるこれらの諸国がミレニアム開発目標(MDG)を達成するための支援として利用されています。こうした諸国では、例えば、グローバル化がもたらす好機と競争の圧力への対応、HIV/エイズの蔓延阻止、紛争防止、あるいは紛争後の対応といった課題に取り組む必要性に迫られています。

 

IDAの無利子の長期貸付は、公正で環境にやさしい開発を進めるための政策の策定や、制度、インフラ、人的資本の構築を目指すプログラムに利用されます。IDAの目標は、人々を主な経済活動に参加させ、貧困を削減し、経済成長から生まれる機会に平等にアクセスできるようにして、途上国間の格差、そして人々の間の不平等を軽減することにあります。

 

IDAの歴史

世界銀行の名で知られる国際復興開発銀行(IBRD)は、ヨーロッパ諸国が第二次世界大戦後の荒廃からの復興を支援するための機関として1944年に設立されました。それから数年以内にこの事業を成功に導いた世界銀行は、以後その焦点を途上国へと向けたのです。1950年代を通じて明らかとなったのは、世界の最貧困国には、世銀の貸付条件を緩和しなければ成長に要する資金を借り入れるだけの余裕がないことでした。

 

そのため、米国のイニシアチブのもとで世銀の一部の加盟国が集まり、最貧国に最も有利な条件で貸付を行う機関の設立を決めたのです。これが「国際開発協会 (IDA)」と呼ばれる機関です。設立者たちは、IDAを世界の豊かな諸国が貧しい諸国を援助する一つの手段としながらも、銀行のような統制された環境に置くことを望んだのです。こうした理由から、アイゼンハワー米大統領は、IDAを世銀(IBRD)の姉妹機関とすべきだと提案し、他の諸国もこれに追従したのです。

 

IDA定款1960年に策定され、翌年、最初の融資がチリ、ホンジュラス、インド、スーダンを対象に承認されました。

IDAIBRDは、職員と本部を共有し、一人の総裁のもとで活動を展開するほか、同一の厳格な基準に基づいてプロジェクトの評価を行っていますが、貸付資金はそれぞれ別の資金源から調達しています。IDAは極めて緩やかな条件で貸付を行うため、定期的な増資によって資金を調達する必要があるうえ(以下の「IDAの資金調達」参照)、IDAへの加盟はIBRDの加盟国であることが条件となっています。現在、IDA加盟国は164ヵ国に達しています。

 

IDAの借入国

IDA融資は、2002年度の国民1人当り所得が865ドル未満で、しかもIBRDから借り入れるだけの経済力のないが対象となります。しかし、インドやインドネシアのように、1人当り所得ではIDA融資の適格国でありながらも、信用力が高くIBRD貸付を受ける資格をもつ「ブレンド国」も数ヵ国あります。現在、IDA融資の適格国は81ヵ国に上っており、これら諸国の総人口は、途上国全体の半数にあたる25億人に及んでいます。さらに、その大半の15億人は12ドル以下の生活を余儀なくされています。

 

IDA融資

IDA 融資には20年、35年、40年の償還期間があり、据置期間はいずれも10年とされています。融資資金は、借入国の所得水準に加え、各国の経済管理状況や現行のIDAプロジェクトの管理状態に応じて、借入国に配分されます。IDA融資は無利子ですが、小額の手数料(現在、実行額の0.75%)が課されます。

 

2003年度(同年630日に終了)のIDA融資承諾額は74億ドル、実行額は70億ドルに達しました。同年度の新規承諾額は、141件の新規案件から成り、56ヵ国を網羅しています。新規承諾額の51%はサハラ以南のアフリカ諸国、28%は南。融資の大半は、初等教育、基礎保健サービス、清潔な水・衛生といった基礎的なニーズに対応したものですが、環境保護、民間企業の環境整備、インフラ構築のほかアジア、8%は東アジア・大洋州、8%は東欧・中央アジア(ECA)を対象とし、残りは北アフリカとラテンアメリカの貧困国に向けられました。2003年度の主な借入国は表1に掲載されています。

 

1960年の創立以来、IDAは総額1,420億ドルを108ヵ国に融資しています。その融資額は年々着実に増え、過去3年間の年間融資額は平均約74億ドルとなっています、各国の経済自由化と制度の強化を目指す改革支援などのプロジェクトにも資金を投じています。こららのプロジェクトはいずれも、経済成長、雇用創出、所得と生活水準の向上の土台を築くものです。
 

1

 

2003年度のIDA借入国

上位10ヵ国

単位

100万ドル

インド

686.6

バングラデシュ

554.4

コンゴ民主共和国

454.0

ウガンダ

406.5

エチオピア

404.0

ベトナム

368.1

パキスタン

297.2

タンザニア

250.5

スリランカ

232.7

ナイジェリア

229.7

IDAの資金調達

IBRDは国際金融市場で資金の大半を調達するのに対し、IDAは富裕な加盟国政府からの拠出金で大半を賄っています。IDAの創立から20036月末までの  累計拠出額  は、米ドルに換算すると1,189億ドルに上ります。加えて、IBRDの純利益とIDA融資の借入国からの返済金も貸付資金の一部となっています。

 

IDAの増資と拠出総額のドナー別割合については、累計拠出額一覧表をご覧ください。

 

 

 

IDA資金の増資はドナー国が3年ごとに検討します。IDA13次増資をみると、ドナー国からの拠出金は増資総額(230億米ドル)の半分以上を占めています。この増資額が2004630日までの3年間のプロジェクト資金となります。第13次増資の際の大口拠出国は、米国、日本、ドイツ、イギリス、フランス、カナダ、イタリアでしたが、かつてIDA融資の借入国であったトルコや韓国など、まだ富裕国とは言えない諸国も含まれています。また、第13次増資では、IDA融資の適格国ではありませんが、現在IBRDからの借入適格国となっているアルゼンチン、ブラジル、チェコ共和国、ハンガリー、メキシコ、ポーランド、ロシア、スロバキア共和国、南アフリカも拠出しています。その他の拠出国としては、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、ギリシャ、アイスランド、アイルランド、イスラエル、クウェート、ルクセンブルグ、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポルトガル、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイスなどが含まれます。

 

IDAをより開放的なものとし、その方針を各国の事情とニーズに適切に対応できるようにするため、第13次増資では、IDAの各地域の代表者を招いて交渉が行われました。また借入国代表の数もさらに増え、20042月にパリで開かれた第14次増資の第1回目の交渉では、第13次増資と同様に、バックグランドポリシーペーパーが一般に発表されました。また、増資報告書のドラフトも最終報告を公表する前に一般に公開される予定です。

 

貧困緩和におけるIDAの役割

IDAの貧困削減活動は、他の開発パートナーと共同で進める場合と、IDA自身のプログラムを通して展開する場合があります。IDAがそれまでの経験から学んだ教訓は、どの開発プログラムでも、借入国政府だけでなく、非政府組織(NGO)などの市民社会団体の代表がその立案と実施に深く関与し、プログラムに対する自己責任意識を培ったときに最大の成果が得られるということです。そのため、IDA支援に先立って優先課題を設定する貧困削減戦略(PRS)は、今や借入国の主導で作成されることになっています。一方、各国内では、IDAは現地の開発パートナーと協力して、PRSが問題なく実施されているか、そしてIDAが比較優位を有する分野に的を絞っているかを確認します。2003630日に終了する1年間に、IDAは、教育・保健・社会セーフティーネット・給水・衛生(44%)、インフラストラクチャー(26%)、農業および農村開発(11%)といった分野で人的開発を中心に活動を展開しました。

 

  IDAの活動例

インド 国家エイズ抑制プロジェクトでは、52,500人の医師と60%の看護婦を対象にHIV/エイズ管理を課題とする研修を実施しました。

イエメンのタイズ洪水被害防止・都市開発プロジェクトのおかげで、1996年の洪水では深刻な被害を免れ、21,000世帯が直接的に、また50万人以上が間接的にその便益を受けました。

アフリカでは500万冊以上の教科書(その大半は現地で作成)が小学校に配布されました。

アジアでは、基礎ヘルスケアを農村の人々に提供するため、6,700を超える医療施設が建設/改造されたうえ、医療機器やスタッフも増強されました。

ラテンアメリカで実施された一連の社会投資基金プロジェクトは、およそ950万人がその便益を受けたほか、これらプロジェクトが支援する活動により、月100万人に近い雇用が創出されました。

 

 

 

 

IDAは、以下のような分野での幅広い成長を重視しています。

  • 健全な経済政策、農村開発、民間事業、持続可能な環境業務
  • 人的資本への投資、およびHIV/エイズ、マラリア、結核への対応を中心とした教育・保健への投資
  • 基礎サービスの提供と公共資源に対する説明責任の明確化を目指す借入国の能力増強
  • 内戦、武力闘争、自然災害からの復興
  • 貿易と地域統合の促進 

 

IDAは、貧困削減政策の立案を可能にする知識構築のため様々な分析調査を行うほか、経済成長の基盤を拡張して経済ショックから貧困者を守る措置についての助言を各国政府に行っています。 

IDA
の借入国には10億人もの子供たちがおり、基礎保健、初等教育、識字率、清潔な水など、IDAの支援分野への投資は、こうした子供たちが主たる受益者となっています。今やIDAは、ドナー資金を最貧国の基礎社会サービスに提供する一機関としては最大の資金源となっています。

IDA
はまた、債務返済の重圧に対応できない貧困国を救済するためのドナー資金援助の調整業務も手がけています。

市場と社会の統合がますます進む中で、このグローバル化の波に乗った中国やインドなど多数の途上国では、外国直接投資(FDI)を拡充し、輸出市場に進出することで成長をいち早く促進してきました。IDAは、最貧国と貧困の瀬戸際であえぐ諸国を対象とする貿易業務を再活性化して、グローバル化のもたらす悪影響を抑えながら、その恩恵をより多く受けられるようにするための支援を行っています。この分野でのIDAの業務は、投資環境の整備、特にアフリカを中心とする地域統合の促進、競争力強化、工業国市場の貿易障害の排除、適切な技術とインフラの構築を可能にするパートナーシップ強化に重点を置いています。

 




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