これまでの実績とパートナーシップ
IDA は長年にわたりパートナーとしてインドの前進を支援してきました。インドは、1961年にIDA が活動を開始した際、最初にIDA 支援を受けた国の1つでした。
当時、インドは農業を主体とする経済で、大規模な食糧不足に見舞われ、貧困が深刻で、識字率が極端に低く、保健指標は憂慮すべき水準でしたが、その後の進歩により、今や食糧は自給され、絶対的貧困状態にある人々の人口比率は劇的に低下し、識字率は上昇し、保健指標も向上しています。インドは現在、世界でも屈指の急成長国であり、グローバル・プレイヤーとして台頭しつつあります。
インドの成長に伴い、インドにおけるIDA の役割も発展してきました。当初は農業などの基本的ニーズに重点が置かれていましたが、貧困が集中する、より困難な領域でのIDA 支援が求められるようになっています。こうした取り組みは大きな成功をもたらしています。また、世界の貧困対策のために素晴らしい教訓も提供してきました。本冊子の例が示すとおり、IDA からの資金が役に立っていると同時に、インド国内や世界の他の国々からのベストプラクティスの移転によりそれ以上の成果が上がっています。
現段階では、貧困が削減され、インドは堅調なペースで前進していますが、いくつかの困難な課題が残されています。こうした課題への取り組みでもIDA は引き続き中心的な役割を果たしていくことになります。インドの貧困人口は今も世界最大であり、そのためインドは世界の貧困対策の重要な舞台となっています。インドの全人口10 億人のうち、約3億人は依然として貧困ライン以下の生活をしています。インドの貧困ラインは現在、1日1ドルに設定されていますが、これが引き上げられると貧困人口はさらに増大することになります。1日2ドルを基準とした場合、インドの人口の約半数にあたる5億人以上が貧困ライン以下に該当することになります。
インドは、その規模の大きさゆえに、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けた国際的な取り組みにおいても最前線に位置しています。小児の栄養不良は50%以上と、憂慮すべき水準にあり、サブサハラ・アフリカの水準をも上回っています。格差も根強く残っています。今なお大多数の国民が住んでいるインドの農村部には貧困が集中しており、農業が深刻な危機に見舞われています。多数の貧しい人々が経済的機会を求めて都市部へと移動し、都市部での貧困も侮り難い課題として浮上しつつあります。これを受け、急成長が環境に大きな打撃を与えつつあり、都市部と農村部、富裕層と貧困層、そして地域間の格差が、これまで高い評価を得てきたインドの成功に深刻な影を落としています。
こうした課題に対し、新たなアプローチを見出し、試行し、検証することが求められています。インドが万人のための開発という目標を達成するためには、これまで同様、新たな知識やベストプラクティスの移転を通じたIDA の影響がインドとパートナーシップを維持するに当たってきわめて重要となります。取り組まなければならない大きな課題が残る中、インドの使命は引き続きIDA の使命でもあり、取り組みの過程においてIDA 自身の使命を促進するものです。以下の例で、その理由をご説明しましょう。
インドにおけるIDAの取り組み
1995 年以降、IDA はインドに対し62 件のプロジェクトに110 億ドルの支援をしています。IDA融資の4分の3は、農村開発(28%)、保健・栄養(26%)、教育(20%)に対するものです。
IDA は成長促進と貧困削減のために政策改革も支援しています。研究、分析、技術協力のための資金援助も行い、それらが中央レベルでも州レベルでも改革プロセスの土台となっています。