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善意だけでは不十分:対象となる貧困層に達している保健プログラムは余りに少ないが、もっと成果を上げることは可能   世銀報告書
Available in: Español, Português, Français, English
Press Release No:2006/184/HD

コンタクト:   

ワシントン  - 

Phil Hay  (202) 473-1796

(202) 409-2909 - cell

Phay@worldbank.org

 

Stevan Jackson (202) 458 5054

(202) 437 6295 - cell  

Sjackson@worldbank.org

 

ワシントン、2005127途上国と国際開発コミュニティは共に、病気や疾患と闘う貧困層を支援するに当たり、そうした決意と実態の間に存在する格差を検証し、明確な結果を出すべく努めるべきだ――世銀は本日発表する報告書の中でこう警告している。同報告書では、貧困層用に用意された保健プログラムが実はより裕福な人々のために実施されているケースが多いと指摘しながらも、こうした状況は回避できるとしている。さらに、成功を収めた多くの国のケーススタディーを基に、不利な立場にある人々に不可欠なヘルスケア・サービスを緊急に提供するための重要な政策を、各国政府に段階別に示している。

貧困層への対応:成功例と失敗例、そしてその理由」(仮題)というこの新報告書によると、保健、栄養、人口プログラムがそれを最も必要とする貧困層には届かないでいることが多いにもかかわらず、途上国の保健政策担当者や国際援助機関は、意図した通りうまく進んでいると思い込んでいる場合が多いという。

同報告書は、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ諸国での経験をもとに、不利な立場にある人々に対象を限定したサービスを含め、官民共にそのサービスがもっと裕福な人々のために実施されてしまうことが多いとしている。例えば、調査の対象となった20以上の国々のほぼすべてで、人口の20%に当たる最富裕層が、人口の20%に当たる最貧困層と同水準またはそれ以上の、政府補助金による母子ヘルスケア・サービスを受けていたという。

「有益なヘルスケア・サービスが貧困者に届いているとただ考えているのと、実際に届いているのとではまったく違うことを、この報告書は示している」と同報告書の共同執筆者で、世銀の保健・栄養・人口局の顧問であるデービッドソン・グワトキンは言う。「でもサービスを実際に届けることは可能だ。政府や非政府組織(NGO)がさまざまな方策を試みたり実施したりしながら貧しい人々の生活向上に役立っている心強い例が多数確認されている」

本報告書の調査結果に基づき、フォローアップのための行動計画によって、不利な立場にある人々が健康で豊かな暮らしを送るのに必要な保健、栄養、人口分野のサービスを提供するための戦略を策定・推進していくことになっている。

サービスが実際に貧困者に届いている例

同報告書の執筆者をはじめ、この調査を資金面で援助したゲイツ財団、オランダ政府、スウェーデン政府、そして世銀は、現在実施中および最近実施された保健イニシアティブの両方の記録を評価することで、実績の思わしくないプログラムについて各国政府や保健担当者に警告し、さらに重要なことだが、きわめて有効であることが実証されたアプローチを他にも展開したいと考えている。では、どのようなプログラムが本来意図された対象者に到達しているのだろうか。今回の調査で明らかになった例は以下の通りである。       

  • メキシコの「Progresa/Oportunidadesプログラム は、貧しい人々に医療費や学費の補助を行っている。2,000万人を超える人々を対象としたこのプログラムは、対象者の所得の20%以上に相当する便益をもたらしている。補助を受けた人々の60%近くは、メキシコの人口の20%に当たる最貧困層に、また受益者の80%は人口の40%に当たる貧困層に属している。
  • コロンビア政府の補助による健康保険を不利な立場にある人々に提供するための個人に的を絞った精密な手法により、人口の5分の1を占める最貧困層における保険加入率が、90年代初期の10%をゆうに割り込んでいた状態から、4年後には50%近くにまで引き上げられた。同プログラムによる補助金総額の35%は、人口の20%に当たる最貧困層に、また65%が人口の40%に当たる貧困層に費やされた。
  • 政府の農村基礎保健サービスの運用を非政府組織(NGO)に委託するカンボジアの試みでは、貧困層の受益者数を一定レベルにまで引き上げることを契約の中で求めている。人口の20%に当たる最貧困層を対象とした8つの基礎サービスが提供されたが、4年の試行の間に、受益者の割合は、人口が両方で約20万人の2つの試験区で、当初の平均15%未満から40%以上に伸びた。これは、政府の標準的サービスを従来通りに受けた2つの試験区のおよそ2.5倍近い伸びに相当するものだった。
  • ガーナとザンビアでは、はしか予防措置の一環として殺虫剤処理された蚊帳を配布。ガーナでは赤十字と政府保健サービスが、人口およそ9万人の北部地区で、人口の20%に当たる最貧困層の間で、処理済の蚊帳を使用できる子供の割合をわずか3%から60%近くにまで引き上げた。ザンビアでも同様のプログラムにより、これに匹敵する成果を上げた。人口およそ45万人の5つの農村地区で人口の20%に当たる最貧困層に処理済の蚊帳を支給し、受益者の数を18%から82%にまで増大させた。
  • タンザニアにおける殺虫剤処理された蚊帳の販売活動両方で人口およそ6万人の2つの南部地区でイファカラ保健研究開発センターが開発・実施した社会販売プログラムにより、全世帯の20%に当たる最貧困世帯で蚊帳を所有する割合が20%から73%に増大した。ガーナとザンビアの例同様、蚊帳の使用者/所有者の増加率は、富裕層より貧困層の方が高かった。

「ここ数十年間、世界規模の保健プログラムは、貧困層に的を絞ることによって保健分野に存在する不平等を正そうと試みてきたが、意識的に貧困層に絞り込んだプログラムですら、結局は富裕層の方により多くの便益をもたらしているというのが、大方の調査結果の示すところだ」と、ビル&メリンダ・ゲイツ財団で世界規模の保健プログラムを担当するウィリアム・H・フォーグ上級研究員は言う。「現実は意図した通りになっていない。世界の保健関係者は、ついにいくつかの心強い知らせをもたらしてくれたこの世銀報告書に大いに感謝するものだ」

 

成功例を踏まえて

こうした成功例が励みになるとはいえ、それを可能にするのに実にさまざまな方策が用いられたということは、簡潔で単一の普遍的解決策が存在しないことを示すものだと、同報告書は認めている。これほどさまざまな方策が用いられたということは、むしろ、貧困や不平等が、国や地域によって大きく異なり得る根強い要因が重なり合った結果であることを反映するものだ。

そのため同報告書は、どんな場合でも成功が保証された「魔法の杖」のアプローチを特定して提示するのではなく、代わりに、状況への適合プロセスを提唱している。各国の政策担当者が、他所で成功した戦略の中から自国の状況に最も適したものを選び、それらをさらに自国の背景に沿って適合させていくべきだと提案しているのである。このプロセスで不可欠なのは、なぜ貧困層がしかるべきサービスを受けていないのかを深く理解する必要がある点だと、同報告書は指摘している。政府やドナー、開発機関は何でもわかっているというこれまでの考えから脱し、不平等が何によって生み出されているのかを理解するために懸命に努力することこそ、貧困層のニーズに適った政策策定に間違いなく必要な次のステップなのだ。

「今回の新しい調査結果は確かに、希望の持てる展開の始まりとして、将来は明るいと信じるための重要な根拠となるものだ」と、本報告書の共同執筆者で、世界銀行研究所の保健担当主任エコノミストであるアブド・S・ヤズベックは語る。「ヘルスケア・プログラムを最も必要としている貧困層に確実に届けるには、ものごとを額面どおり受け入れるのではなく、何が実際に有効であるかの実例を把握することが重要となる。今回の調査結果からも、注意深い監視とたゆみない努力によって成果を上げることが可能だとわかる」

 




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