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世界開発報告:記録的に人口の多い途上国若年層への投資拡大が急務

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Press Release No:2007/56/DEC

 

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しているが、彼らを対象として、より質の高い教育、医療、職業訓練の充実に投資を行えば、急速な経済成長と大幅な貧困削減を実現することができる、とシンガポールでの年次総会で発表される世界銀行の最新報告書「世界開発報告2007」はこう指摘している。

 

同報告書によると、現在、途上国の若年人口は過去最高の13億人に達しているが、こうした若年層はこれまでの世代よりも健康で、より高い教育も受けており、また、人口構造の変化に伴い扶養者が少ないまま労働人口に加わるので、若年層への投資をするのに絶好の機会である。しかし、職業訓練のための機会、ひいては行動的な市民となるための訓練の機会をとらえ損なった場合には、幻滅感と社会的緊張の広がるおそれがある。

 

「途上国に住む若者の数がこれほど多いことは、大きな機会であると同時にリスクでもある。多くの国で熟練労働者が増加し被扶養者が減少することは、大変な機会であるといえる。しかし、良い仕事を創出し、またそうした仕事に就くためには、若者たちの側の準備も整っていなければならない」と、世界銀行チーフエコノミスト兼開発経済担当上級副総裁、フランソワ・ブルギニヨンは述べている。

 

また、同報告書は、世界の失業者の半数近くを若年層が占めていると指摘しており、例えば中東・北アフリカ地域では、雇用状況を安定化させるためには2020年までに1億人分の雇用を創出しなければならないとしている。さらに、同報告書のためのリサーチとして東アジアおよび東欧・中央アジアの若者を対象に実施された調査でも、雇用へのアクセスが物理的安全と共に若年層にとって最大の懸念となっていることが示されている。

 

読み書きのできない若者はあまりにも多く、その数は1524歳で約13000万人に上っている。中等教育や技能の取得は、初等教育が充実していて初めて意味を持つ。しかし、現実には依然として初等教育が充実しているとは言い難い状況にあり、この分野での取り組みを強化する必要がある。さらに、アルジェリア、バングラデシュ、ブラジル、中国、エストニア、ザンビアといった国々では、企業の20%が、労働者の教育や作業技能が不十分であることが「業務上の重大なもしくは深刻な障害」になっていると評価している。こうした状況を克服するには、若年層への投資の拡充から始めなければならない。

 

「ほとんどの途上国では、記録的に多い若年人口層が中年になるまで、問題を解消できる可能性は少なく、豊富な労働力に恵まれることの恩恵をこうむることができない。これは、単に賢明な社会政策の問題にとどまらない。貧困を削減し経済を活性化するために、途上国が下すことになる重大な決定の一つといえるかもしれない」と、同報告書の主席執筆者で世界銀行東アジア・大洋州地域人的開発局長のマニー・ヒメネスは述べている。

 

ある研究では、19651990年に東アジアの経済成長率がラテンアメリカを上回ったことの40%以上は、マクロ経済、貿易、教育、医療、職業訓練に関する進歩的な政策と労働年齢人口の急増によるものであると指摘している。人口構成上のこうした機会を逸した国は、グローバル経済においてますます立ち後れていくことになるであろう。

 

同報告書は、ほとんどの国の政策担当者は若年層が自国の社会的・経済的な命運を大きく左右すると認識しているにもかかわらず、いかにして若年層への投資をより効果的に行うかについて深刻なジレンマに直面しているとした上で、若年層への投資を強化し得る3つの戦略的施策として、(1)機会の拡大、(2)能力の向上、(3)厳しい環境や選択肢が乏しいために落ちこぼれた若者へのセカンドチャンスの提供を挙げている。これらの施策では、若年層が直面し、その経済生活、社会生活、家庭生活のすべてに影響する5つの根本的な転換、すなわち、教育を受けること、仕事を見つけること、健康を維持すること、家庭を築くこと、市民権を行使することに対応するものである。

 

機会 教育や医療の向上の機会が拡大すれば、若者は思春期から青年期を安全に過ごしていくための生活技能を身につけることができ、職業訓練は労働者間の競争に役立つ。若者の政治参加や社会組織への関与も、それぞれのコミュニティにおける若者の市民生活を発展させるために不可欠であると同時に、良いガバナンスのためにも極めて重要である。

 

生産的な市民参画の機会がなければ、若者のフラストレーションが過熱して経済的・社会的緊張へとつながり、長年にわたって一触即発の状態が続く紛争が生じる可能性がある。たとえば、スリランカで続いているシンハラ人とタミル人の民族紛争は、大学から閉め出され、その他の市民参加の道も閉ざされたタミル人学生らの不満に端を発している。

 

能力 若者に情報を提供し、特に健康を維持し継続学習の価値を認識するための意思決定力を育成することが重要である。正しい情報と動機があれば、若者たちは正しい意思決定を下せるようになる。

 

都市部のスラム街や農村部に住む1220歳の若い女性に、生殖や保健に関するサービスの情報と職業訓練を提供しているインドの「より良い生活のための選択」プログラムに関する分析では、このプログラムに加わっている若者がそうでない若者と比べて、人生の重要な決定にはるかに深く関与していることが示されている。

 

セカンドチャンス各国で、厳しい環境や選択肢が乏しいために落ちこぼれた若者にターゲットを絞ったプログラムが必要とされている。具体的には、中途退学、薬物中毒、犯罪行為、長期にわたる失業状態などが考えられる。セカンドチャンスは若者が自分自身の将来を再構築するために役立ち、ひいては社会全体にとっても長期的な利益となる。更生には多額の費用がかかるが、若年層は生産性の高い生涯を送る可能性をまだ持っており、更生費用に対する見返りはきわめて大きい。

 

世界開発報告によると、近年、18歳未満の若者30万人もが武力紛争に関与し、さらに50万人が軍隊もしくは自警武装集団に加わっている。復員や更生プログラムでの経験から、若い戦闘員らは職業訓練や医療・精神面でのサポートがあれば、人生を再構築できることがわかっている。

 

こうした問題の多くは容易には解決できないものの、途上国およびそうした国に住む若者は、賢明な施策や公的機関に支えられた若者が困難を切り抜けるばかりか立派に活躍しているという、数多くの実例に勇気づけられるであろう。

 

            「現代の若者は、これまでのどの世代よりも教育を受ける機会が多く、政治的開放性を経験し、テレビ、インターネット、移住などを通じて外の世界との接触が増えている。こうしたことによって、彼らが将来、法律を守る積極的な市民に脱皮していくのが容易になる」と、世界開発報告2007の共同執筆者で世界銀行ヨーロッパ・中央アジア地域局のリードエコノミスト、マムタ・ムルティーは述べている。

 

            ムルティーは、若年層の知識と生まれながらの創造性の流れを作ることによって経済成長が刺激され、はるか将来の世代にまで影響する、長期的かつ有益な効果を生み出すことができると言う。つまり、彼らは、今後4050年にわたって世界規模での貧困との闘いの成果に影響を与えることになるのである。

           




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