- エジプトの温室効果ガス排出は世界でも最も急激に増えつつある。
- エジプトは、2020年までにエネルギーの20%を再生可能エネルギー源にて生成することを目指している。
- 風力発電による7200メガワット実現、公共輸送機関の改善による車両からの排出削減、工業のエネルギー効率改善を目指している。
 | エジプトは、2020年までにエネルギーの20%を再生可能エネルギー源にて生成することを目指している。 |
2009年5月5日 - 温室効果ガス排出が世界でも最も急激に増えつつあるエジプトでは、低炭素テクノロジーとエネルギー効率の普及のためにこのほど設置されたクリーン・テクノロジー基金(CTF)の支援の下、この傾向に歯止めをかけようと計画しています。 52億ドルの同基金は現在8カ国の政府が支援しており、世界銀行が管理し世銀をはじめとする国際開発金融機関が運営しています。エジプトはこれをいち早く利用する予定です(エネルギー効率とクリーン・エネルギーを促進するトルコの計画 については先週概要を紹介しました)。 エジプトは、同基金からの譲許性資金3億ドルを、世銀グループ、アフリカ開発銀行、二国間開発機関、民間セクターからの資金と合わせて、風力発電の開発を促進し、クリーンな輸送システムを導入することによって、2020年までにエネルギーの20%を再生可能エネルギーから生成するという目標達成を可能にする計画です。 エジプトでは、これまでのペースのままだと、温室効果ガスの排出が電気セクターだけで2007年の水準から50%上昇しかねない状況にあります。電気セクターと運輸セクターを合わせると国内の温室効果ガス排出の70%以上を占めています。 それでも、再生可能エネルギーとエネルギー効率の分野で域内で最も先進的とみなされているエジプトは、2020年までに7200メガワットの風力発電量を実現し、公共交通システムの改善を通じて人口密度の高い地域で車両からの排出を削減し、工業におけるエネルギー効率を改善するなどして、このシナリオを変えたいとしています。 エジプトはまた、CTFの共同出資により、中東・北アフリカ(MENA)における集熱型太陽光発電所を拡充する、申請中の地域プログラムにも参加の予定です。 世界的な視点からすると、太陽光発電促進のために最高水準の太陽光資源を利用することが極めて重要であり、MENA地域はそのための機会を提供していると、世銀中東・北アフリカ地域運輸・エネルギー担当マネージャのジョナサン・ウォルターズは指摘しています。エジプトは、地球環境ファシリティと日本の国際協力銀行(JBIC)の支援の下で小規模な集熱型発電所を試験的に稼動させています。 「風力発電の素晴らしい潜在性」 風力エネルギーについては、スエズ湾に「強力で継続的な」風が吹いていることから、エジプトには『風力発電に関して素晴らしい潜在性』があると言えるでしょう」とウォルターズは指摘します。 政府と、世銀のグループ機関であるIFCなどのパートナーはすでに400メガワットの風力エネルギー発電能力に対し資金を拠出しています。さらに600メガワットの発電力確保を目指すプロジェクトが計画中で、2-4年のうちに開始の見込みです。 ただし、今のところさらなる展開はインフラの不足のために滞っています。そのため、政府はクリーン・テクノロジー基金の1億~1億2000万ドルを使って、スエズ湾の風力発電所からカイロなど人口密度が極めて高い地域に向けた大容量の送電システムの協調融資に充てる計画です。 CTFエジプト投資計画によると、CTFの基金なしには、そうしたインフラ整備は3-5年遅れかねないといいます。 CTFの融資は「エジプトにとって状況を一変させる効果があります」とウォルターズは指摘しています。「今回は、世銀、アフリカ開発銀行、IFCなど国際開発金融機関(MDB)の協調融資と一緒に使うことができます。計画全体に対する3億ドルの譲許的資金は、温室効果ガス排出削減に大きな影響を与える投資に対する巨額の補助金です」 エジプトの再生可能エネルギー庁(NREA)のアブドル・ラフマーン長官は、特に石油価格が下落している今、CTFは再生可能エネルギーの価格高騰による負担を一部軽減することになると話しています。 「CTFは再生可能エネルギーの促進について真剣に計画している途上国を支援する強力なツールであり、現在のような金融危機下にあってより一層効果を発揮します」とラフマーンは言います。 「CTFは、自ら定めた再生可能エネルギー計画を引き続き支持する途上国を支援しています。また、再生可能エネルギーの拡充を可能にする送電網などのインフラ整備も支援し、域内の再生可能エネルギーへの投資について投資家に安心感を与えています。 よりクリーンで混雑の少ない都市部の輸送システムを計画中 CTFはまた、世銀融資と共に、大カイロ圏において毎日500万人の旅客に対応できると期待される「軽快電車」やバスによる高速輸送の実現など、エジプト都市部の輸送計画も加速させる予定です。 エジプトの車両の半数はこの地域で使われており、一日当たりの自動車による移動は2000万件に上り、年間約1300万トンの二酸化炭素を排出しています。この巨大都市の大気汚染と交通渋滞が経済と環境に強いてきた代償は膨大なものになります、とウォルターズは言います。 交通量を軽減し、二酸化炭素排出量を年間約150万トン削減するために、政府はカイロで高速バス専用車線6本の新設、ならびに、カイロと急成長する郊外とを結ぶ「軽快電車」を計画中です。 この計画は、大気汚染の原因となっている613台の旧式のミニバスを、クリーン・テクノロジーを使った1310台の大型バスと入れ替えることも求めています。 来週はメキシコの取り組みを紹介します。
|