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大震災の影響 — 日本の成長に対しては「一時的」、堅調な域内経済に対しては「限定的」世界銀行「東アジア大洋州地域報告書」

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今回の惨事は、災害に対する耐性の高い都市づくり戦略の見直しが、成長を持続するために必要であることを浮き彫りに

シンガポール、2011年3月21日 ― 世界銀行は、大震災と津波により日本の実質GDP成長率は一時的に鈍化するものの、復興努力が進むにつれ、2011年央以降は回復に向かう見込み、と本日発表した「東アジア大洋州地域経済報告書」で指摘している。完全な予測を行うには材料が不十分であるが、日本の過去の実績をみれば、復興努力は迅速に行われ、東アジアの途上国経済に対する影響は短期的かつ限定的なものとなる見通しだ。

「現状の確保、将来の形成」と題した今回の東アジア大洋州地域経済報告書は、今般の大震災発生の数週間前に完成していた。日本での地震と津波の発生を受けて新たに加筆され、主に貿易と金融を中心とする域内への影響について暫定的な分析が行われた。ただし、原子力発電所で生じている不確実性と課題についても言及されている。

「東アジアにおける日本の存在の重要性に鑑みれば、今回の惨事の影響は明らかに域内に現れるだろう。しかし、その影響の規模を正確に予測するには、まだ材料不足だ」と、ヴィクラム・ネルー世界銀行東アジア・大洋州地域担当チーフ・エコノミストは述べている。「現段階では、東アジア地域に与える経済的影響はかなり短期的なものとなる見通しだ。直後の影響として顕著なものは、貿易と金融だろう。日本は、復興の取り組みが加速するにつれ、経済が浮上する見込みだ」

貿易に関しては、1995年に起きた阪神淡路大震災を参考にすると、日本の貿易は数四半期の間減速しただけで、輸入は1年以内に完全に回復し、輸出も震災前の水準の85%までに戻っている。ただし今回の場合、特に自動車とエレクトロニクス産業における生産ネットワークの分断により、問題が長引く可能性がある。

金融面では、東アジア諸国が抱える長期債務のおよそ4分の1が円建てであることに留意が必要である。中国の場合は約8%、タイの場合は約60%と、その割合は国により異なるが、円が1%切り上がる度に、円建て債務に対する域内途上国の年間返済負担額は、およそ2億5千万ドル増えることになる。

同報告書は2010年を振り返り、域内GDPの伸びが9.6%と驚くほど高かったことを特記している。また、域内途上国のうち6か国で7%以上の伸びを示すなど、同地域の成長は多極的になっている。これは概ね、各国の金融・財政刺激策の継続と対外需要の堅実な伸びによるものといえる。2011年と2012年の実質GDP成長率は8%程度に落ち着くものと予測される。

2011年は、インフレ対応が短期的優先課題となるため、経済成長は減速する可能性がある。東アジアの中所得国にとって、インフレを抑制することは難しい政策上の選択を迫られることになる。大量の証券投資の流入と食糧その他の一次産品価格の急騰により、金融政策の舵取りが複雑化しているからだ。マクロ的な調整負担のほとんどは財政政策にかかる模様だが、ここでも、財政赤字の早急な削減と、急務となっているインフラ整備や貧困層への現金給付を含む社会的支援に要する財源確保という問題の狭間に立たされている。

同報告書はまた、同地域が持続的な高成長パスを歩むために、好機をつかみ、課題に対応できるのか、その中長期的な見通しについても検証している。今回の日本での地震と津波は、自然災害に対する脆弱性という東アジアが直面する最大の課題の一つを顕在化させた。東アジア大洋州地域は、地球表面積の半分を占め、全世界人口の59%が住んでおり、世界の自然災害の70%以上が発生している。生産や人口がますます集中する東アジアの主要都市は、極端な天候、海面上昇といった危険にさらされている。各国は、自然災害に対して耐性があり革新的な都市の構築、環境面の持続可能性、気候変動への適応に取り組む必要がある。

世界経済の重心が徐々に東アジアにシフトする中、同地域は新たな責任を引き受け、地球公共財に対するより一層の貢献が求められている。「変化の激しい世界経済環境の中で、マクロ経済の安定のために困難な決断を進んで行うことができれば、東アジアは高成長を続けられるはずだ。同時に、域内経済統合の促進、経済的・社会的な格差の是正、生産ならびに消費における低炭素化の推進といった中期的課題に取り組まなければならない」と、ヴィクラム・ネルー世界銀行東アジア・大洋州地域担当チーフ・エコノミストは強調している。

http://www.worldbank.org/eapupdate


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